昨日のニュースより。
北海道の孤児院に100万円の現金が届いたそうです。
差出人住所は「M78星雲」
差出人氏名は「ウルトラセブン」
昨年暮れから本年初頭にかけて頻発した、とあるアニメ&劇画の「主人公」の「変身(?)した姿」の名を冠した運動の亜流なのでしょうね(と、皮肉りつつすぐに正体を記述してしまう本稿のクオリティに少々自信喪失気味です)。
「ひびきの高校連絡帳」に一度と云わずお足を運んで下さっている方には周知のことと存じますが、「ウルトラセブン」「伊達直人(の、タイガーマスク)」「快傑ズバット」「キリコ・キュービィ」は私のヒーロー四天王です。
その上で、本件については歓迎ではなく困惑の念を抱いている旨、愚見を申し上げずにはいられません。
昨年暮れから本年初頭にかけて頻発したムーブメント ~孤児院に匿名(?)で寄附をする行為~ を世間は「タイガーマスク運動」と命名し、もてはやしました。
寄附の方法が、仔細に観察すると諸法令 ~現金は書留で送らないといけないのに云々~ に抵触しているなどの、融通の利かない「ご指導」も散見されましたが、ドラスティックに批判的な風潮はなかったと理解しています。
そもなぜ「タイガーマスク」なのか?
詳細は割愛しますが、「(劇画&アニメの)タイガーマスク」の主人公「伊達直人」は孤児院「ちびっこハウス」の出身であり、ハウスが経営難&借金返済に苦しんでいるのを見かねてファイトマネーを寄附したという行為が人々の胸を打つからです。劇中、伊達直人はファイトマネーを本来上納すべき悪役養成機関「虎の穴」から「裏切り者」と断じられ、文字通り命を狙われます。
つまり孤児院・養護施設への寄附行為を、行うに際して最も適任な名前だったのです。
少なくとも私の認識では“そう”なのです。
世間では寄附行為を匿名で行うに際して「フィクションのヒーローの名前を使えばいい」と解釈しているのでしょうか?そうなんでしょうね?それゆえ他の空想上のヒーロー・豪傑の名前をランダム(?)に名乗ってしまう。
それを指摘したくとも、肝心の「伊達直人(運動)」も「タイガーマスク(運動)」と歪曲されて世間に伝播されていては、強く主張する「寄る辺」すら覚束ないのです。
タイガーマスクには亜久竜夫(アニメ・劇画の「タイガーマスク二世」)、佐山聡(現実の世界で虎の仮面を被った格闘家~初代タイガーマスク~)、三沢光晴(同じく二代目タイガーマスク)、金本浩二(同じく三代目タイガーマスク)、現役の四代目タイガーマスクと、意識して区別しなければ「どのタイガーなのかわからなくなってしまう」ほどのタイガーがいるというのに。どうやら五代目までいるようじゃないですか。
一連の運動には、そしてそれを報じるマスコミには、重ねて「伊達直人」の名前をの由来と重さを認知してもらいたい。
伊達直人の名前の重みを尊重せず、あろうことかもう一人のヒーロー「ウルトラセブン」の名前で成された行為。
セブンが好きであるが故に、余計に直人兄さんの努力(cf:タイガーマスク第105話「去りゆく虎」における若月ルリ子先生のセリフ参照)をぶれさせるようなことはしてほしくなかった。
「伊達直人?タイガーマスクでも同じことだろ?」
「タイガーマスク?タイガーじゃなくたって他のヒーローでもランドセルの寄付すりゃいいじゃん、鞍馬天狗でも矢吹丈でも…」
「ヒーロー?ウルトラセブンの方がいいじゃん」
「セブン?ウルトラマンの仲間なんだからウルトラマンセブンじゃないの?」
ちょっとした齟齬の積み重ねが、伊達直人の気配を消し去ってしまうものなんですよ。
今は「いいえ、“ウルトラ【マン】セブン”ではなくて“ウルトラセブン”です」と力説する気力が薄れています。
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