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我が生涯に一片の悔い無し!

ネット内のアニメランキングをときどきチェックしています。

ありがちなお題は「生き様/死に様が格好いいアニメキャラランキング」「心に響いたアニメキャラのセリフランキング」など。

その中で、頻繁に、上っ面だけの「格好良さ」にほだされて(としか思えない)、キャラクターとして 北斗の拳に登場した「ラオウ」が、セリフとしてこの男が断末魔に叫んだ「我が生涯に一片の悔い無し」がランクインすることが多いです。

確かにケンシロウとの勝負に敗れて帰天(笑)する瞬間だけを切り取って見れば なかなか他に類を見ない「格好いい男」と思えなくもありませんが、北斗の拳の作品世界を遡っていけば「格好いい男」「心に響くセリフ」として 髪の毛一本分すら目にかける価値のない存在だというのが分かる筈なんですよ。

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諸資料によれば、ラオウの風貌は当時のアクションスターだったアーノルド・シュワルツェネッガー氏(後付けでコロコロモデルは変わっています)をもとにデザインされたと聞き及んでおりますが、最初期の(ジャンプの敵役定番の)「顔が松崎しげる状態」のときは巨大なジャイアン。

この男の「格好悪い」ところは劇中において「戦っている当事者」でない人たちに散々な迷惑をかけていることですよ。

物語のヒロインをめぐる恋のさや当てに敗れ、北斗神拳(←一発変換しましたね。南斗聖拳は「なんと聖剣」と変換されます)の伝承者争いに敗れ、師父を【殺害】して野に下る。まあお互い「暗殺拳の使い手」なので命の遣り取りは「お互い様」だったのでしょうから、そこは不問としますか。

その後は(害意のない)各地の拳法使いを「鬼の哭く街・カサンドラ」に幽閉し、拳法使い本人とは関係のない配偶者や乳飲み子を離れ離れにして幽閉し、餓死させている。
本人の独りよがりな大望のために「戦い」とは関係のない市井の人々を迫害し、服従しなければ代償として命を奪い、危うく(後に天帝の妹と判明する)リンを間接的に鉄板焼きにしようとする。
実力的に「あっさり倒せた」であろう南斗水鳥拳のレイをわざわざ数日間にわたって悶絶させて殺している。
服従・追従を強要するくせに、のっけから「ああ、そうですか、云うこと聞きますから」と“隷従”“被略奪”を申しでた村長の態度に癇癪を起して殺害。ダブルスタンダードもいいところです。

たしかにケンシロウとの「第一回戦」よりも後においては、ユダだのサウザーだの、相対的に手強く アクの強い拳法使いが登場し、少年時代の出来事(こち亀で言うなら「お化け煙突」「弁天島」みたいな立ち位置のエピソード)が描かれて「ラオウは実はいい人・素敵なお兄ちゃん&心ならずも悪行に走っている描写」が「追加」されましたけれども「第一回戦」で終わっていたことを想定すると、とても「漢」だの「強敵(とも)」だのと認めたくありませんね。

挙句の果てには叶わなかった想い人に執着し、有難いことに想いを寄せてくれる女性がいたにもかかわらず、拒絶をするばかりか「自害」する様を拱手傍観している。
北斗神拳の使い手ならば、トウの息遣い、目の動き、筋肉の動き…要するに気配から自害しようとしていることなど察知できるだろうし、察知できなかったにしてもその動きを妨げるなり、止血するなりできたでしょうに。

トウの腕の動きとマミヤのボウガンから射出される矢の動き、どちらが早いのですか?

更に始末の悪いことにはユリアでもトウでもない別の女性に身ごもらせた(としか思えない)息子のリュウが「後日談」に登場する。ラオウの貞操観念、女性に払う敬意というのはなんなのかと思ってしまう。

「わが生涯に一片の悔いなし」?

そりゃそうでしょうよ。それだけやりたい放題やって「悔いが残った」なんていったら(北斗世界における)市井の人たちに「贅沢言うな」ってお尻を蹴っ飛ばされますよ。

かつては座学系and/orひ弱系ヲタクユーザーと筋肉脳・体育会系ユーザーの歩み寄る、稀少なコンテンツだった北斗の拳。
作品の面白さや絵師の描きこみには敬意を払います。
同時にラオウとラオウの断末魔のセリフを美化する風潮には 全く首肯しない旨、愚見を披瀝致します。

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