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孤影再び

目下新生活にリズムを合わせるために緊張や疲労が重なり、ブログ更新にまで手が回らないのではとヒヤヒヤした毎日を送っています。

本日、密林から「装甲騎兵ボトムズ 孤影再び」のDVDが届き、帰宅後すぐに視聴しました。
劇場での鑑賞に続いて二度目の視聴です。小説版の重厚さに比べると少々薄味な感が否めませんが、小説を読んでいない方、或いは一見さんにとっても十分鑑賞にたえる映像作品だと確信しています。

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私は映像作品を見ても、その作品評が得手でなく、特に「装甲騎兵ボトムズ」シリーズの場合は主演であり、25年以上憧れていた“郷田ほづみさんに会えた/話せた/目が合った”みたいな話題に終始してしまいがちです。
今回はできるだけ丁寧に感想を書いてみたいと思います。

「孤影再び(“こえい・ふたたび”と読みます)」という小説を知ったのは、「日経エンタテインメント!」という雑誌での連載でした。当時の記憶がおぼろげですが、そのころ参加していた某掲示板で話題に上っていて「キリコが出ているのなら読んでみようか」といった動機から立ち読みを始めたのではと思っています。
登場人物にはバニラ、ココナ、ゴウトといったテレビシリーズおなじみのメンバーが年輪を重ねた姿で登場していましたし、勿論キリコも手堅い活躍をしていました。
新登場人物として鮮明に記憶していたのはベスウッド・ガル・ギャッシルマンという男。表向きはマーティアルの僧侶ですが実は腕利きのスナイパー。劇中に登場する黒い稲妻旅団の伏兵として交易都市・グルフェーの若者を煽動するいやみなキャラクターとして描かれていました。また、キリコをマークしてからはかつてのイプシロン以上のしつこさで彼をつけねらいます。闘技場へ追い込んでの狙撃シーンではやたらとハイテンションな言葉を発してキリコに迫っていました。結果、あっけなく倒されてはしまうのですが、高校時代からキリコに感情移入し続けてきた私にとってはかなり不快な存在でした。
そしてもう一人、気になる人物はテイタニア・ダ・モンテウェルズ。マーティアルの法王、ビアチェスラフ・ダ・モンテウェルズが実の娘を殺害し、サイボーグ化した人間兵器(劇中、“ネクスタント”呼ばれています)でした。

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時系列的な前日談となる「赫奕たる異端(“かくやくたる・いたん”と読みます。平成6年のビデオシリーズ)」で初登場。父のモンテウェルズ枢機卿が次期法王となる際の力の象徴として暗躍していました。劇中でキリコの愛する女性、フィアナの命を間接的に奪ってしまった引け目(?)を感じた彼女は憎まれ口を叩きつつもキリコを狙ったり援助したり… 最後の最後まで好きになれないキャラクターでしたが小説の最後ではキリコを庇って落命する、という描写がなされ、その悲しすぎる結末に驚愕し、大人気ないことですが作者の高橋良輔監督に対する憤りすら覚えました。

ときはうつろい、映像作品としてはOVAシリーズ「ペールゼン・ファイルズ」がリリース、後に劇場作品としても公開されました。
この作品では利己的な同僚、ドロドロした政治抗争、そしてCGで描かれたATが注目されましたが、全編を通じて流れる過度に陰鬱な作風や低血圧気味のキャラクターに辟易した記憶もあります。もっとも、この作品のお陰で各種イベントが催され、キリコ役の郷田ほづみさんと邂逅する天佑に恵まれたという事実もあるため、一概に低い評価を下せずにいます。
続いて時系列的に「孤影再び」の後日談にあたる「幻影編」がOVAでリリースされ、懐かしい面々が登場して私の心を温めてくれました。
実は幻影編リリース直前、郷田さんからお話をうかがう機会があり、そこで「“孤影再び”のアフレコも済んでいる」旨伺って、思わず小躍りしました。断片的にテイタニアの落命については伺えたのですが、ギャッシルマンの扱いが小説とは少々異なっていそうだということも情報として入りました。

さて…今回の映像作品ですが…
「赫奕たる異端」を知っている…フィアナの死に涙したヘビーユーザーにとっては自然と作品世界に入り込めるつくりでした。また「赫奕たる異端」をご存じない方にも、プロローグでのかいつまんだ説明的映像があったため、ボトムズに興味がある方であれば、不自由なく作品世界に入り込めたのではないかと思っています。

交易都市・グルフェーに向かう途上、旧友、バニラ・バートラーの娘であるステビアに声をかけられ、早くも黒い稲妻旅団とことを構えてしまうキリコ。「絵」的にも、ペールゼン・ファイルズのときのように過度に不健康な顔色のキリコで無いキリコを拝ませていただきました。ATパイロットとして比肩なき存在であるキリコ。自身のATを躊躇なく壊し、乗り捨てるという相変わらずの勇姿(?)には思わずニヤリ、とさせられてしまいました。

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(キリコがステビアの手を引いているのではなく、ステビアがキリコの手首を捕まえて父親のところに案内しようとする図です。)

ブールーズ・ゴウト、バニラ・バートラー、ココナ・バートラー“一家”と再会し、交易を阻害する黒い稲妻旅団に武力を以って抗しようとするバニラの息子、ソルティオを救い出すキリコ。懐かしさと新鮮さ、時の流れの温かさと苦さなどがないまぜになってストーリーは続きます。
ギャッシルマンの描写が少々薄口。小説版の「執拗にキリコをつけ狙うストーカーもどき」な描写はなされず、戦闘ヘリでキリコに襲い掛かるものの キリコの搭乗した(しかも損壊している、借り物の)ATに撃墜されてしまいました。
ついで砂漠に展開する250機のAT部隊を一人で殲滅せしめんと躍り出るキリコ。テレビシリーズ最終回で数千機のAT部隊を排除したキリコですから、250機なんて物の数ではなかったのでしょうね。この乱戦(?)に加担するように飛来したテイタニア。故意なのか、マーティアルに妨害されたのかは分かりかねますが、補助脳を使っておらず、図らずも苦戦を強いられます。
途中、キリコのATから投げ渡された銃火器で奮戦しますが被弾、機体の背後から襲い掛かった銃弾が身体を貫通します。その後の細かい戦闘描写は劇中で描かれませんでしたが、彼女の乗ったATはワイヤー(恐らくは追跡してきたマーティアルのATの放ったザイルスパイトによるもの)でがんじがらめに固縛され、ハッチの中の彼女は… 

彼女の搭乗していたAT“エルドスピーネ”は際立って無骨な戦闘マシンであるにもかかわらず、テイタニアの置かれた状況と重ね合わせるだに悲しい妖艶さすら感じられました。

CVの松岡洋子さんの少々しゃがれた声も耳障り…フィアナを間接的に殺してしまったテイタニアに憐憫の情など抱けない…といった声が私の心の中で響く一方、落命寸前、キリコの首に腕を回し、抱擁した(ように見えた)テイタニアの姿に、悲しい女性の色香を感じました。

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(画面右側がエルドスピーネのコクピットです。シートの下部に見えるのは… これがネクスタントの哀しさですね)

続編が重ねられるにつれて初期設定からの矛盾・逸脱が散見されるのも否めません。それを嫌悪してボトムズに背を向け、同好の士でありながら袂を分かったた方も身近におられますが、私はこれまで歩んできた28年を放棄するつもりはありません。
「赫奕たる異端」「孤影再び」「幻影編」と、時間が流れていますが、今後どのような展開になるのか、キリコの息遣いが続く限り見届けたいと思います。

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