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鉄のララバイ

1月17日です。

歌曲にまつわる郷愁を書き連ねた「心に残る歌/音楽」なのですが、ここらで真打ちを登場させようかと思いまして、キーボードに向かった次第です。

本日は「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版」の公開記念日です。

去年の今頃は「今の私」を予感して、もう 心穏やかではありませんでした。

しかしながら、前年、かなり早い時期に前売り券を買っていたので、勿体無い、という気持ちで劇場に足を運びました。
当時の住まいから劇場までは電車で20分程度。加えて通勤途上にあったことも手伝って、上映する前から 当該劇場にはよく足を運んでいました。

劇場ロビーには巨大なスクリーンが設置され、公開を控えた様々な映画の予告編が上映される。

そんな中で、「PF」の予告編も流されていました。

タイバス河で、揚陸艇から射出されるスコープドッグ
ポリマーリンゲル液中和剤のタンクをブン投げるシーン
銀河万丈氏の切迫したナレーション

ボトヲタには馴染みの
「お前も!お前も!お前も! オレのために死ね!」
のフレーズ。
予備知識のない一般の興味を惹くには一役買ったのかもしれませんね。

ただ、自分としては、締めの
「これがボトムズだ!」
の一言が却って画竜点睛を欠いたのではないか、と感じていました。

さて、時計を調整します。
私が観たのは1月18日。ストーリーは概ね判っていたので、レビューのような感じでした。
ガンダム、マクロスなどの陰に隠れて、日陰者扱いされてきたボトムズの劇場デビュー。そういう意味では感慨深いものがありました。
ただ「これだけを観て『ボトムズが解った』、みたいに言われるのはいやだな」と思いました。

冒頭、髑髏の様な風貌の軍高官が基地敷地内を悠々と闊歩し、その周囲を赤い肩のATが滑走する。

3




見方によっては「いたいけな老人に絡んでいる暴走族」の趣。
真相はわかりづらいのですが、私には
「オドンのレッドショルダー秘密訓練基地にMPが出頭命令書を持参した」
「MPの来訪につき、『俺たちの親分を守れ』といわんばかりにターボカスタム仕様のレッドショルダー機がペールゼンを護衛している」
という風に解釈できました。

2




さてアバン・タイトルを終えて。
二カ月おきにリリースされていたDVDシリーズの際もそうだったのですが、意識を集中するのに難儀させられました。

劇中、興味を惹かれたのは、ヨラン・ペールゼンとフェドク・ウォッカムの駆け引き。
そう言い切ってしまうと勿体無いのですが、「異能生存体」と「準・異能生存体」が簡単に戦死するわけはなく、寧ろ安心して観ていた為 多くのボトヲタが望んでいたであろう ATの戦闘シーンは殆ど記憶していません。
卵から孵化したばかりの蟷螂の幼虫みたいなスコープドッグの群れに戸惑いつつ、モナド攻略戦を見届けましたけど。
情報省次官のウォッカムについてはその横柄さが鼻につきました。横柄な割には薄っぺらな印象が払拭しきれず、結局のところペールゼンの掌で踊らされていた、というDVDどおりのオチとなりました。

上映中、集中力が散漫になり始めると、まるで居眠りしている生徒をめがけて 教壇からチョークが飛んでくるようなタイミングで「鉄のララバイ(歌:柳ジョージ)」「バイバイ・ブラザー(歌:柳ジョージ)」が大音量で流れてくる。

単体の歌としては、それなりに面白いのですが、ボトムズ世界をストレートに現しているか、となるとアグリーできない部分もあります。
テレビシリーズ放送当時から現在に至るまで、仕様を変えてHobby Japanという雑誌が出版されています。
当時、巻末に戦記ものの劇画が掲載されていました。題材は独ソの戦争、だったかな?
そういう独特の画風がDVD版のEDにも活用されていたんでしょうね。
キリコの居ないボトムズ世界、というか、誰が登場してもいいけどATだけは疾駆している世界、ならばこの歌はドンピシャリ、だったのかもしれません。

ただ「TVシリーズ」→「赫奕たる異端」と受け継がれてきた故・乾裕樹氏の旋律を介して、ウドのきな臭さやクメンの蒸し暑さを真冬でも思い出すことの出来る私には 少々FIXしない旋律でした。

ATの素材を、おおっぴらに「鉄」と言っちゃってよかったのかな、などと困惑もしたし。

パンフレットがなかったのは是か、非か?
財布の紐を気にする立場としては有難かったですけど、やっぱりあってしかるべきだったのでは?ブルーレイの付録にすればいい、とは言い切れませんからね(私はパンフ欲しさに、プレイヤーもないのにブルーレイを買いました)。厳しい言い方をすれば、観客を愚弄しています。
パンフレットがないことで「あ、その程度の映画なんだね」って馬鹿にする一見さんも現れたんじゃないでしょうか?

劇場のグッズ売り場に 他の映画関連のキーホルダーやメモパッド、下敷きと並んで 面積だけを大きく占めるプラモデルが唯一のボトムズグッズとして並んでいたのは是か、非か?
私的には非です。
キーホルダーの一つくらい、携帯ストラップくらい、リリースしてほしかった。
一部の送り手が、「ボトヲタ=AT大好き=プラモ作れる」というステレオタイプを拭えなかったのかもしれません。送り手がユーザーを選んでしまった、と言われても仕方ないのではないでしょうか?

ペールゼン・ファイルズ劇場版の功績(?)は、
劇場に進出し、一見さんの幾ばくかを観衆に取り込んだこと
劇場版公開に伴い イベントが開催されたこと
それをきっかけに郷田さんと邂逅することができた

といったところでしょうか。

劇場版EDは「炎のさだめ」でした。
TETSUさんですが、十数年前に海外で暴漢に襲われ、喉を痛めて声が出なくなったと聞き及んでいます。
ああいうアレンジは苦肉の策だったのかも、と私個人は許容しています。

新作が発表されるたびに、時間軸にズレが生じてしまうのを愛嬌と捉えるか否か。

レッドショルダー基地の暴動
第三次サンサ攻略戦

そのあとは…

「ザ・ラスト~」のアバンタイトルに登場した「銃殺を選びたくなければ…」なシーンに続くんでしょうね。

キリコの行き先は リドだったのか、タイバスだったのか、ゾフィーの家族を殺したサンサ戦はいつ行われたのか

そういった矛盾を感じつつも、ボトムズを見つめ続けています。

幻影編まであと二ヶ月程度。

ボトムズの運命は、作り手が遊ぶ双六だとしても、上がりまでは一天地六の賽の目次第。
鬼と出るか、蛇と出るか、謎に挑むDVD予約。

矛盾もある。キャラクターを軽視している面も否めない。ただ、つぎはぎだらけの人生の中で 一つくらい、一貫して打ち込めるものが欲しい。
最後まで見届けたい、の一心で 巡礼も続けます。

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コメント

TV本編のボトムズフアンとしては、PFをみて「あれがボトムズ」といわれるのはつらいものがあります。矛盾だらけになった設定、時間軸……さりとて見届けないわけにもいかない。つらいところです。
あれだけ、人間が魅力的に描かれていたボトムズが、ATのアニメとして評価されるにいたったのは非常に皮肉なことですね。
私も愚痴るのやめなきゃと思っているんですけど……何はともあれ、キリコの物語は決着がつく(あいまいなまま終わる気もしてるんですけど)はずなので、待ちたいと思います。

投稿: 朱鷺 | 2010年1月17日 (日) 00時32分

朱鷺さん

おはようございます。
産みの親がスタッフならば、育ての親は我々ユーザーなんでしょうか?
双方が産みの親であり、育ての親なんでしょうね。

躾け方、モノの価値観に偏りが生じて、「こうすれば最大公約数が喜んでくれる」というラインを「やんちゃ坊主」がローラーダッシュしているのでしょう。

アニメとしては、まだまだマイノリティな部類に属するボトムズ。
そのボトムズファンの中でATを偏愛しないユーザーは、マイノリティの二乗でしょうね。

前作「太陽の牙ダグラム」でドナン・カシムが「多くの利益を考えれば、少数の犠牲は止むを得ない」と言っていましたが、「魂を持たないAT」愛好家への迎合よりも、「魂を持ったキャラ」愛好家への気配りが欲しいです。

皮肉ですが、ゴウトたちが関与することでミリタリー一辺倒なアニメからは脱却してくれるかも。

投稿: 八重花桜瑠 | 2010年1月17日 (日) 09時23分

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